『東北大学臨床教授 岡山博医師のがれきに関する意見』の転載です。長いですけれど、ゆっくり時間かけて読んでみて下さいませ。放射能の性質をよく知る事は大切だと思います。http://blog.goo.ne.jp/flyhigh_2012/e/ed6130111e15da45086dadf488abcc25
放射性廃棄物は、原発付近に集めて管理を 焼却処分はすべきではない
放射性廃棄物処理の正しい戦略と方法
●要約
・ 除染とは、放射能の被害の少ない場所に移動すること
・ 放射能は分子の性質ではなく原子の性質なので、微生物や化学反応で減らすことはできない
・ 除染とは、放射能の被害の少ない場所に移動し、管理すること。管理する場所の放射能は当然増える。どこに集めて増やすかを決めない除染方針は偽り。
・ 偽りを前提として適切な除染処理はできない。
・ 除染を行う際に最初に行うべきことは、最終処分場;どこに、どのような状態で、どの程度の規模に集めて管理するかを決めること
・ 最終処分場を決めない除染は、他の領域を汚染する。全体として考えれば、かえって有害
・ 放射性物質を燃やして、煙として拡散することは有害。絶対にすべきではない
・ 瓦礫や除染して集めた低レベル放射性廃棄物は、原発付近の一箇所に全て集めて丘に築いて管理すべきだ。
・ 岩手や宮城の海底や海岸の津波瓦礫など、更に低レベルの汚染瓦礫などは放射能処理施設で管理しなくてもよいが焼却や拡散してはいけない。全て集めて遺品として扱い仙台平野の海岸に丘に築き、慰霊と津波記念の大古墳、記念公園として整備することがよい
●はじめに
福島、宮城、岩手県や関東地方に拡散した低線量放射能汚染物や瓦礫処理についての考え方と私の考えを述べる。
●現在進められている放射性廃棄物対策
・ 福島原発事故によって生じた放射能汚染物は、福島県内だけでも2000万トン以上と見積もられている。評価の仕方によってはその数倍になる。岩手県と宮城県の津波瓦礫も2000万トン以上ある。
・ 福島県以外の宮城、岩手県や関東各県にも低レベル放射能汚染されている津波瓦礫以外に、落ち葉、枯れ草、わら、表土など大量の汚染物がある。
・ これらの汚染物処分として、焼 却、埋め立て、建設・土木資材として消費、中間管理施設での保管管理、放置などが進められている。
●放射能とは
・ 放射能は分子の性質ではなく原子の性質なので、微生物や化学反応で減らすことはできない。化学反応とは、原子間結合などのように、原子と原子の関係を変えるもので、原子そのものは変わらない。
・ 放射能は時間とともに減少(減衰)する。この減少する早さ(半減期)は放射性元素ごとに原子の性質として決まっていて、人が変えることはできない。
・ 放射能以外の毒物は、分解や、他の物質と結合などにより毒性を失っていくが、放射能は分子の性質ではなく原子の性質なので、半減期による減衰以外は、何をやっても減少しない。
・ 多くの毒物のように、一時隔離しておけば、やがて分解されて毒性を失うと期待するような、同じ感覚で扱ってはいけない。
・ 人は放射能を減らすことはできない。人ができるのは移動することだけである。
●放射能処理、除染とは
・ 除染とは、放射能を減らすことではなくて、人にとって影響の少ない場所に、影響の少ない形に集めて管理すること。
・ 汚染された小領域・空間だけを考えれば、除去・洗浄すれば放射能は減る。しかし、他に移動しただけで、移動した側の放射能は増加する。全体の放射能総量は変わらない。
・ 放射能をどこも増やさずに、どこかの放射能を減らすことはできない。除染とはどこの放射能を増やすかということ。
・ 既に集まって固まっている放射性物質を、焼却して煙として拡散するなどは、かえって有害である。絶対に拡散してはいけない。
だから
・ 除染を行う際にまず行うべきことは、放射能汚染物質の処分場、どこに、どのような状態で、どの程度の規模に集めて管理するか:どこで放射能を増やすかを決めることである。
・ 除染した放射能がどこに行くかを決めない除染は、他の領域を汚染することで、全体として考えれば、多くの場合、かえって放射能汚染を拡散してかえって有害である。
・ 処分場を決めない除染方針は打算と偽りである。
・ 最終処分場の規模と形態を決めない政府・行政は、無自覚無能力か、原発を守るために意図して住民を犠牲にしていると私は考える。
・ 現在の除染方針は、これを分かった上で、意図して現在の方針を出している東京電力と、東電に共同歩調をとる高級官僚が基本方針をつくり、無自覚・無能力の政治家が共同し、操られて作った方針と私は考える。
●通常時の放射性廃棄物処理法
・ 放射線を扱う研究施設や医療機関、企業などは、廃棄物処理方法や基準が厳重に法律で決められている。
・ 処理法の基本は、焼却して、残り灰と煙を完璧に回収してビニール袋に詰めた後、ドラム缶にいれ、半減期から計算される十分な時間、地下の貯蔵保管施設で長期間管理する。
・ 焼却の目的は、放射性物質の容積と重さを減らして、必要なドラム缶の量を減らすためである。焼却には、放射能煙を外界に拡散しない、特別の焼却炉が義務付けられている。
・ 広大な敷地を持っている東北大学でさえ、毎年出てくるわずかな汚染物の保管施設確保に苦慮している。
●焼却処分はすべきではない
・ 焼却すると、放射能は減らないので、煙と燃え残り灰に全て残る。
・ 煙の放射能を完全に回収できない焼却施設で燃やすと、大気中に放射能を再拡散する。絶対にしてはいけない。
・ 回収した煙と残り灰の重さは焼却前より少なくなるが、放射能は減らないので、kgあたりの放射能は高くなり、かえって処理を困難にする。
・ kgあたり放射能が高くなって、移動、管理が厳しく制限される放射能レベルを超える。これを移動や保管,放置、処分すれば、どれでも放射線に関連した全ての法律に違反する。
・ 2000万トンの放射能汚染物質を焼却した場合、焼却によって出た煙の回収物と焼却灰の重さや容積が仮に1/100 に減ったとしても、回収した煙と残った焼却灰は20万トンと多い。焼却しても放射能は減らないので、1kg 当たり平均放射能は100倍に、場合によっては数千倍になる。
・ 事故後環境を汚染した放射性物質が多いため、密封した上でドラム缶に詰め、全てを地下の格納施設に保管して長期化管理するには莫大な負担が必要になる。実際には多すぎてドラム缶に入れて地下室で長期保管管理は不可能。
・ したがって、焼却して全体を処分することは困難で、実際には、処分されずに放置される放射性物質が多く残ってしまう。
・ 焼却をして容積と重量を減らしても多すぎて、ドラム缶・地下貯蔵施設で収容管理できず、放射能が高レベルになってかえって危険であり、法律違反になるから、焼却すべきではない。
・ 焼却や、再利用を行うためには莫大な費用がかかる。これは新たな利権の材料となり、貴重な税金が莫大に浪費される。浪費せず被災者の生活復興などに使うべきである。
●土木資材や、肥料に混ぜて「再利用」すべきではない
・ 放射性物質の管理とは、集めて管理すること。
・ 何かに混ぜて再利用など拡散してはいけない。低線量被曝環境を全国に広げる。
・ 薄めて拡散してはいけないことは、国際的な合意事項である。
・ 公害物質の規制を、濃度規制をしていた60年代までは、有害物質を希釈して大気や河川・海に有害物質を放出したために汚染を激化させた。総量規制にして初めて環境汚染を改善できた。
●汚染瓦礫と除染して集めた放射能汚染物をどう処理すべきか 汚染の現状基本認識
・ 原発周囲地域や東北、関東地方に広く汚染している放射能は、原発施設内のような高レベル汚染ではない。
・ これを焼却するとkgあたりの放射能が上がってかえって危険、処理困難になる。
●最も実際的で有効な放射能汚染物処理戦略
・ 環境中の汚染物は焼却せず、拡散せず、一箇所に集めて管理する。
・ 全体の量は多いが、重量あたりの放射能は低いので、管理は簡単
・ 数百メートル四方、数十メートル高さの、巨大古墳のような丘に積み上げる。
・ 半減期に従って放射能が減衰するまで管理する。
・ 必要な設備は、風で飛散させない、土壌に浸透させない、立ち入り禁止だけでよい。
・ 風による飛散防止と雨水が浸透して土壌浸透の原因になる廃液を減らすために、表面にビニール、コンクリートなど被うだけでよい。高レベル放射能とは違い、完全密閉は不要なので簡単なものでよい。
・ 汚染物質搬入が終わり、山済みした瓦礫などが圧縮、変形するなどして形が安定するまでは、ビニールシーとで被うだけで間に合う。
・ ビニール膜の目的は、風で飛散させないことと、雨水浸透によって廃液を増やさせないためである。雨水の浸透を止めれば、下部からの汚染水流出はしばらくすればなくなる。
・ 丘の形が安定したら、浸透防止層の上に表面に土を数メートル積めば、植物への放射能吸収をさせずに植物を植えることもできる。
・ 土壌への浸透防止のための基礎部分(底)は必ずしも厳重にする必要はなく、水抜き層と水抜きパイプで水抜きを十分に行う。底には粘土や吸着剤を敷き、最低部にはコンクリートなどの不浸透資材による底を作る。
・ 十分な水抜きをし、その水だけの汚染処理;濃縮してドラム缶管理などをする。管理場所は前述の丘の中に地下室として作る。数十年か百年以上経って立ち入り可能になったら原発事故記念公園に整備する。
・ 海底の津波瓦礫など、汚染がわずかな瓦礫などは放射能処理施設で管理しなくても良いが、焼却すると、管理しなければならないレベルに上がる。
・ 岩手や宮城の低レベル汚染津波瓦礫は、焼却せず、放射性廃棄物処理施設で管理せず、拡散しない対策だけをして、処理できる。津波被害を受けた仙台平野の海岸に全て集めてこれも巨大な丘に築く。土壌への浸透防止は必要だが、厳しい飛散防止や立ち入り禁止は殆ど不必要。安い費用でできる。ごみとしてだけ考えず、津波で死亡した人たちの遺品として全て集めて丘に築き、慰霊と津波記念の大古墳、記念公園として整備することが良い。岩手、宮城の2000万トンを越える瓦礫を全て収容できる。ただ集めて積み上げるだけなので費用も時間もかからない。現在も殆どの瓦礫が始末されずに残っている。すぐに決定して着手すべきだ。遅れるほど時間と復興が遅れ、浪費がかさんで社会が疲弊する。「震災モニュメント、鎮魂と研究の場建設を」河北新報持論時論2011年6月11日で提案発言した。津波瓦礫の処分については改めて後日書くつもりです。
●山積み処理法の利点
・ 他地域に汚染を拡散しない。
・ 他の方法よりもはるかに経済的。
・ 無制限に大量のがれきや環境汚染物を回収できる。
・ このため、除染活動を希望する人や団体は、除染で集めた汚染物の処理を心配せずに除染活動ができる。
●他の除染戦略の問題点
中間処理施設:
・ 最終処分場の規模と形態を決めることが除染戦略を決める最初にすべきこと。これを決めずに中間処理施設や焼却、その他の方針を言うのは偽りと誤り。
・ 「中間」施設がごまかしの言葉であることはほとんどの国民と関係者は考えている。偽りや誤りを前提にして正しい方針はありえない
・ 偽りと批判させない方針の出し方や、社会のあり方は不健全で、被曝被害と関係費用を拡大するとともに、社会の健全性を損なう。
焼却:
・ 回収しきれない煙による大気汚染と、回収した煙と残り灰のkgあたり放射能が高くなってかえって厄介になることは前述した。
埋め立て・建設資材に使用:
・ 放射能の拡散になる。拡散は除染と逆の行為。
・ すべきではない。国際合意にも、放射能被曝対策の常識にも反している。
・ 全体から見れば建設資材に使っても全体量から見ればわずかで、汚染物質や瓦礫はほとんど減らない。
・ 国民全体の放射線被曝と被害を増やす。社会がまともに理解、考えることと考える能力を妨げる。企業と官僚の利権につながる。利権は、社会の健全性を阻害し国民財産を消耗する。
他の地域に搬送して処分:
・ 各地で瓦礫受け入れが進んでいないことが、瓦礫処理と被災地復興の妨げになっていると言う政府発表やマスコミ報道が続いている。偽りである。
・ 政府の方針でも域外処分予定は20%で80%は地元処理である。地元処理が進んでいないことが瓦礫処理が進まない原因だ。
・ 20%の域外処理は元来不要だが、問題をすり替て国民を偽る政府と、批判せずに同調報道するマスコミは悪質だ。
●除染の目的
・ 除染の目的は環境放射能を減らして、人の放射線被曝を減らすこと。
・ 除染活動の対象は、汚染はされているが生活可能な環境の、ホットスポットや子どもが集まるところなどを、被曝をさらに少なくさせるために放射能を減らす目的で行うべき。
・ 放射能レベルが高い地域を除染して、かろうじて住める区域を作ることを目的として、そこで生活を再開すると、かえって被曝を増やす。被曝を増やす除染はすべきでない。
・ 汚染レベルが高いまま、「生活を開始して、それから除染」は法的にも同義的にも違反している。被曝を増やす政府方針と、それを批判しない社会は不道徳で不健全だ。
●最終処分場をどこにどう確保するか
・ 福島原発付近の高汚染地域に国と東電の責任で土地を確保する
・ その人と家族のために、被曝させてはいけない。人が住んでよいところではない。
・ 「住民の気持ちを考えると強制もできない」という人がいる。避難しない責任を住民に転嫁する考え方である。
・ 移住する住民の利益にならない場合も、これまで国や行政、電力会社は、ダムや鉄道、工業団地建設、原発建設のために、土地を買収して先祖伝来の土地で生きることを止めさせてきた。多くの場合、多額の土地代金と移転保障をすることによって全て実行した。同じように、十分な経済補償をして、処分場の土地を確保すべきだ。ダムや高速道路建設のための土地収用と同じレベルの補償と取り組み、努力をしていない。本来はダム建設の土地収用費用に加えて、更に賠償費用を加えた額にすべきものだ。
・ 十分な補償をすれば困難ではない。何よりも、住民にとってそこに住むのは有害。「このままふるさとに住んでいたいいか、それとも離れたいか?」と聞くのではなく、「汚染して住めない土地にしてしまいすみません。申し訳ありませんが危険なので移住してください」と事故を起こした東電と政府・行政が謝罪し、お願いして、原発やダムを造ったときと同じような補償をすればできることだ。おそらくずっと簡単なはずだ。
・十分な金も払わず、謝罪もせず、「残ってこのまま住んでいたいか、離れたいか」と言って補償もせずに、「残りたい」と住民に言わせて、住民に責任転嫁すべきではない。
●結論
・ 人が住めるが、更に被曝を少なくするための除染をすべき。かろうじてすめる環境を目指す除染は被曝を増やすからすべきではない。
・ 放射能汚染瓦礫、除染で集めた汚染物は、焼却や、再利用という名の拡散をしてはいけない
・ 環境中の低レベル放射能汚染物は大規模最終処分場一箇所に全て集め丘に築いて管理すべき
・ これ以外に合理的な処分法はおそらくない。
2011年5月以来主張してきたことをまとめた。
岩手・宮城の津波瓦礫は全て集め、山積み処分して津波記念公園に整備を
津波瓦礫の合理的処分法
●要約
・ 津波瓦礫の焼却や広域処分は、瓦礫処分を早めることにならない。やれば莫大な費用と時間を浪費し、復興を妨げる。
・ 莫大な費用をかけて他の地方に運んで処分する合理的理由は無い。広域処分は莫大な浪費だ。浪費せずに全量地元で処分し、貴重な資金は、直接、被災者と被災地の為に使うべきだ。
・ 岩手、宮城の津波瓦礫は遺品として扱い、全て集めて仙台平野の海岸に山積み処分し、大古墳のように整備して、慰霊と津波記念の大公園にするのがよい。
・ 岩手や宮城の海底や海岸にある津波瓦礫の放射能は低いので放射能処理施設で管理しなくてもよいが焼却や拡散してはいけない。
・ 焼却や広域処分は費用と時間を浪費する。かえって放射能処理を妨げる。汚染を拡大する可能性がある。
・ 山積み処分が最も、早く、経済的で安全な合理的処分法だ。
●はじめに
岩手、宮城県の津波瓦礫処分について考え方の整理と私の考えを述べる。
●津波瓦礫の現状
宮城、岩手県の津波瓦礫は2000万トン。
焼却、埋め立て、建設・土木資材として再利用、他地方へ輸送して焼却等の広域処分などの方針で進められている。1年かけて、処理されたのはわずか6%。
●瓦礫処分遅れの理由
・広域処理の目標は、岩手県で全瓦礫の1わずか15%弱、宮城で23%だけだ。
・岩手で瓦礫処理まで20年、宮城で10年の試算がある。
・仮に広域処理が瓦礫全体の80%なら、広域処分のスピードを上げれば、被災地の瓦礫処分は早まる。
・しかし計画でさえ全体のわずか15%の広域処分ではその半分が達成されても20年が17年、10年が8年半とわずかに痰出されるだけで、現実の瓦礫処理を早めない。
・岩手、宮城瓦礫の20%だけの広域処分を早めても被災地の瓦礫処分に役立たたず、広域処分は無意実だ。
・被災地の瓦礫処分を早めるには、地元での処分を早めるべきだ。
・瓦礫処分遅れは、地元処分方針のまずさと政府の熱意のなさによる、地元処分の遅れが原因だ。
・厚労省は現地での焼却炉建設を認めない。
・理由は「がれきには危険な放射能が含まれてる可能性がある。詳細な検討が必要」。
・一方で、全国には、焼却は問題ないと拡散させて処理させる。
・岩手県岩泉町長:「もともと使ってない土地がたくさんあるのに、どうして急いで瓦礫を全国に拡散するのか?10年、20年と時間をかけて処理した方が雇用確保 し、地元に金も落ちる。」
・南相馬市長:「がれきは復興の貴重な財産。護岸工事に使いたいが不足しているので宮城から運んできたいと相談したら、放射線量が不明だから動かせないといったのは官僚」。
・岩手県担当者:「県内に処理施設を増設するなどし、その費用が補助金で賄われ、自前処理ができれば理想的です」
・地元には「線量が不明だから動かせない」と言い、一方で他の地方には「瓦礫処理で汚染の心配はない」と言う。
●広域処分はすべきでない
・広域処理は運送費など莫大な経費と時間の浪費と放射能の拡散になる。
・各地に分散するのは除染と逆の行為で、してはいけない国際的合意だ。
・元々、広域処理の合理的必要性は無い。
・各地で瓦礫受け入れが進んでいないことが、瓦礫処理と被災地復興の妨げになっているという政府発表や報道が続いている。偽りである。
・政府の方針でも域外処分予定は20%で80%は地元処理である。
・地元処理が進んでいないことが瓦礫処理が進まない原因だ。
・20%の域外処理は元来不要だが、問題をすり替て国民を偽る政府と、批判せずに政府広報的なことしか伝えない報道は、きちんと事実を知らせずに、世論誘導をしている。
・政府に不都合なことも十分報道して、国民の議論と同意、良識に基づく、健全な復興復旧事業にすべきだ。
●焼却処分はすべきではない
・津波瓦礫の放射能は低レベルだが、全体量が多いので拡散すべきではない。
・放射線の確率的発癌作用は、千人に1人癌死させる放射能量は、1万人で分けても10万人で分けても1人が癌死する・個人の発癌確立は減るが全体では変わらない。
・低濃度だからと放射能拡散の総量を増やすと社会全体で癌死はかえって増えるから、放射能を希釈して広げてはいけないという考えで、日本や殆どの国の法律が作られている。
・放射能は食品や大気中に希釈して汚染範囲を拡大してはいけないというのは放射能管理の常識・関係者の合意事項、国際的にも合意事項だ。
・煙の放射能を完全に回収できない焼却施設で燃やすと、大気中に放射能を再拡散する。
・煙の中の放射能がどの焼却場も十分回収するのか、これまで住民や国民を何度も欺いてきた政府の「きちんとやるから安全」という説明が基準どおり実行する保証になるか疑問だ。
・焼却すると、放射能は減らないので、回収した煙と燃え残り灰に全て残る。
・回収した煙と残り灰の重さは焼却前より少なくなるが、放射能は減らないので、kgあたりの放射能は高くなり、かえって処理を困難にする。
・高濃度になった回収煙と残り灰の処分法、処分場を政府は決めていない。
・最終処分の方法と場所を決めない放射能処分はありえない。
・これだけでも、焼却処分をしてはいけない強い理由だ。
・放射線管理の常識と国際合意に反している。
●埋め立て素材などとしての再利用
・農地や海への埋め立てに使うと汚染や土質悪化をおこすので、すべきでない。
・十分低レベルのものは土木資材として使うことは可能だ。
・しかし、本当に放射能レベルが低いか、測定や規制が公正かということについて、繰り返し国民を欺いてきた政府の悪い実績が多く、今も続いているので、広く社会的に自由で健全な議論や検討をせずには再利用すべきではない。
・現実は、逆に、自由で健全な議論を抑圧し、土木・建設素材として再利用することに反対する人を、復興を邪魔する特殊な、社会から無視されるべき人だ、土木素材に再利用させないことが復興を邪魔するかのような、異論を侮辱排除する世論誘導が実際に行われている。
・再利用するとしても、瓦礫の全体量から見ればきわめて少ないので、処分計画に影響を与える量にはならない。
したがって、瓦礫再利用によって瓦礫処分が早まる、あるいは、再利用を有効な瓦礫対策の1つとして考えるべきではない。
・瓦礫を再利用する場合は、再利用することが直接事業に役立つ場合に限るべきだ。
事業に直接利益が無ければ、瓦礫を再利用させるために公的補助金が上乗せされる。
●浪費
・補助金を出す側と受け取る側に不健全な関係を生じ、税金が浪費されてきた。
・行政と業界の不健全な関係は、瓦礫処理に無効なだけでなく、社会の健全さと合理性を蝕み、利権は社会の健全性を阻害し国民の財産を消耗させる。
・浪費や利権に費やす費用は全て納税者から集める税金だ。
・広域処分や焼却、再利用を行うための補助金は、貴重な税金の浪費になり、被災地の害服復興を妨げる。
・浪費せず直接被災者の生活復興に役立つことに使うべきだ。
・利権は真の復興を妨げる。
・浪費をやめて被災者と被災地の為に直接使うべきだ。
・「東京都に搬入瓦礫の焼却をする処分業者は、東京臨海リサイクルパワー株式会社;東京電力 のグループ企業社。ここでも税金から200億円が東電に入る。
●瓦礫は全て山積み処分して記念公園に整備を 最も合理的な瓦礫処分法
・津波瓦礫は輸送費をかけず分別せず、地元で全部集めて山積み処分が良い。
・焼却や広域処分よりずっと早く安く安全に、全ての大量の瓦礫を処分できる。
・三陸地域は瓦礫を集める土地がないので、津波で被災した仙台平野の海岸に集める。
・湾内海底瓦礫も含めて2000万トン全て集め古墳のように築き、津波避難所をかねた、慰霊と決意の津波記念公園として整備すべきだ。
・放射能はレベルが低いので少量では問題ないが瓦礫の量が莫大な総量は無視できない。
・土壌への浸透防止は必要だ。
・しかしそれ以上の厳しい汚染防止、被曝防止対策は不要だなので、安い費用でできる。
・集めて積み上げるだけなので費用も時間もかからない。
・土壌汚染・浸透防止のための基礎部分(底)は必ずしも厳重にする必要はなく、水抜き層と水抜きパイプで水抜きを十分に行う。
・底には粘土や吸着剤を敷き、最底部にはコンクリートなどの不浸透資材による底を作る。
・瓦礫は思い出と鎮魂の遺品だ。人々の思い出の宝をごみとして処分するのは残念だ。
・ごみとしてだけ考えず、津波で死亡した人たちの遺品として全て集めて丘に築き、慰霊と津波記念の大古墳、記念公園として整備することが良い。
・900m × 600m、平均高 20mの丘に築くと2160万トン収容できる(比重2として計算)。現実的な数字だ。
・ちなみに、仁徳天皇稜は堀も含めて840m×486m、最高高さ34m
・海から海岸の処分場まで堀を作れば、三陸湾内の海上と海底に残された瓦礫も、船で直接移送可能だ。
・裁断してトラック輸送することなく、広域処理や再利用・焼却を主とした処分よりも、はるか経済的に、早く、環境汚染少なく、大量処分が可能だ。
・津波の教訓や歴史、防災の世界的拠点として世界一の地震・津波資料館を併設することを提案する。
・復興と発展に役立つ。
・公園費用と考えればすれば多額だが、瓦礫処分費用と考えれば瓦礫焼却や広域処分を含めた政府方針よりずっと安くできる。
・瓦礫処理、公園や慰霊モニュメント、文化教育施設と縦割りで考えず縦割り行政の視野の狭さを克服し総合的判断すれば実現可能だ。
・関東大震災復興事業として、横浜市は震災瓦礫を集めて山下公園を作り、5年後大博覧会を開いた。現在は横浜を代表する公園になっている。
・歴史的世界的な平和の決意の場にした広島平和公園と原爆資料館の例もある。
・現在も殆どの瓦礫が始末されずに残っている。
・すぐに決定して着手すべきだ。
・遅れるほど時間と経費を浪費して、被災地の復興を妨げ、社会を疲弊させ、社会の健全さと活力を阻害する。
●社会と人のあり方
・政府は「規制」と言って実際は逆に汚染容認の基準を作って強制した。
・空間線量も、食物暫定基準も、食物新基準もそうだった。
・膨大な放射能ほこりが舞い、翌日に何が起こるか分からない状態でも、「安全だ心配するな、逃げるな、心配せずに自家野菜を食べろ」と言って被曝回避の言動を妨げ、被曝させた。
・政府と東電は今も謝罪も反省もしない。
・「被災地のためにも瓦礫受け入れを」と言う政府説明は被災地の困窮と被災地への同情心を利用して、利権と放射能汚染拡大、国民分断化を狙うものではないか。
・他の地域での瓦礫処分が進まないことを差別意識と結び付ける政府や報道の基本姿勢を改めるべきだ。
・瓦礫受け入れに反対する人を「被災者の痛みを既往有しない、利己的な人であるかのように言うキャンペーンは、無礼だ。政府が主権者に言うべき言葉ではない。
・瓦礫や政府の言い分を受け容れない人を「利己的な人」として村八分的に侮蔑・無視・排除し、恐怖心を作って異論を言わせないようにしようという政府やマスコミの言論活動は、自由な発言と社会の健全性を脅かし危険だ。
・東京都知事は、放射能瓦礫処理に対する苦情・発言に「黙れ」と恫喝的に一喝した。
・岩手の瓦礫が東京に到着−取材各社、私物でのガイガーカウンターでの測定を禁止した。
・自治体が住民に納得しうる健全な方針と考えないから自治体が住民に納得させられない。
・瓦礫による風評被害は自治体が住民に説得できなければ、自治体に説得専門家を送って“国が対応するという。
・自治体が住民に正当だと説明できないものを強引に行ってよいのか。
・大規模分別を前提にした、政府の瓦礫再利用処分計画は、時間と経費を浪費する。
・被災者の困窮と国民の同情心を利用して、国民と社会を欺き、被災地の瓦礫処分や復興に実質的に役立たない津波瓦礫広域処分と、異論を言う人へのネガティブキャンペーンをやめ、自由で誠実な発言や議論を案心してできる健全な社会運営をすべきだ。
・異論を排除する一方的で、人を欺く「日本人として痛みを共有しよう」という瓦礫広域処理広報に来年度15億円予算は不適切だ。
・知識ない芸能人やアナウンサーがコメントして世論誘導する日本のテレビはおかしい。
・異論を言う人を侮蔑・排除し発言抑圧する社会は健全ではない。
●全国の方へ
・「瓦礫ひきうけよう」と考えるのは支援にならず、復興を阻害するかもしれない。
・被災地と被災者を支援するには何が有効か?何が阻害するか?作られた安全圏の風潮に乗るのではなく、事実を深く観察し、他人のではなく、自分の判断を決め自分の考えを機会あるごとに吟味しましょう。
・瓦礫引き受けは被災地支援にならず、政府視点だけでの瓦礫引き受けニュースの氾濫は、広域処分に眼が向いて、現地処分を進めない現実や、被災者の就業、生活が殆ど破壊されている現実とその原因から視線がはずれ、被災者の復興を阻害していると私は考えます。
・自分や子どもの被曝を危険と考えて引き受け反対を主張する際は、それよりも高い被曝を受けている福島の人や、はるかに高い被曝を受けて、今も原発事故拡大を防ぐ拡大を防ぐための福島原発作業をしている人のことを考えよう。その人たちの被曝を防ぐことを同時に考え、支援、連帯しましょう。
・瓦礫引き受け反対するときは、被災地支援・救援・共同・連帯を明らかにして受け入れ反対しましょう。
・そうしないと利己主義助長、社会の健全性破壊、被害者排斥の政府路線を助け、被災者を苦しめる力になります。
2011年5月以来主張してきたことをまとめた。
本論主旨は「震災モニュメント、鎮魂と研究の場建設を」河北新報持論時論2011年6月11日で提案発言した。
当時、私は余裕がなく、瓦礫処理や震災復興に関係した諸委員会や機関、行政、政治家に働きかけずに終わった。
賛意を持たれ、各機関に関係や働きかけることが可能な方は、本記事をどうぞご利用ください。
(追加)本ブログの別記事「放射性廃棄物は原発付近に集めて管理を。焼却処分はすべきではない。放射性廃棄物処理の正しい戦略と方法」http://hirookay.blog.fc2.com/blog-entry-26.html
もご参照ください。