昨日、蛙さんは、不思議な魔法使いさんに出逢いました。
賢い賢い魔法使いさんでした。
魔法使いさんたちは、「あわび茸」という、あやしく美味しいキノコを食べながら、大きな国のお金に仕組まれたマークのお話など、蛙さんに話してくれました。
刷り込まれたマークは、蛙さんは、全く知らなかったので、びっくりしました。
こんな魔法界のお話なんか聴いちゃって、どうしよう、、、と思いましたが、蛙さんは、自分は小さな世界で生きているし、大丈夫だと言い聞かせました。そして、「びっくり」が大きくならないように、そっと紙に包んで仕舞いました。
しばらく、この魔法使いさんたちと、お話をしていると、あらあら、あ〜ら不思議。知らぬ間にかかってしまっていた蛙さんの呪縛が溶け始めていたのです。
そして、魔法使いさんの1人が、新たな魔法の言葉を、蛙さんにかけてくれました。
「もう、そこには戻らなくてもいいのよ」
蛙さんは、本当はそこが棲家ではないのに、湖のふか〜くへいつも潜ってしまっていたら、底の深い所が棲家だと間違えて、そこに戻っていくようになってしまっていたのでした。
そこは、光も殆どあたらないし、変な生き物はいるし、息が苦しいし、居心地は決してよくなかったのですが、知らずのうちに、自ら息を苦しくして、そこに棲むようになってしまっていたのでした。
その日、家に帰ってから、蛙さんは魔法が解けないようにそ〜っと寝ました。
お風呂に入ったら、魔法がお湯に溶け出してしまいそうなので、その日はお風呂に入らずに寝ることにしたのでした。
次の朝、ゆっくりと起きると、ン〜〜魔法は、まだかかっているような、解けちゃったような、、、。
蛙さんはよく解らない気分でしたが、でも何となく魔法が沁みてきて、効いてきている気もしました。
魔法はちょっとは定着したようだったので、お風呂に入ることにしました。
はぁ〜〜〜〜、ふぅ〜〜〜〜〜、最近すっかり忘れていたお腹を膨らます練習をしてみたりしました。
そんなことをしていると、外から、「ピチピチグルグルグルッ」
「あっ??!」
窓を開けてみると、「ぁぁあ〜〜!来た〜〜〜!!!」
いつも3月31日に来てくれていることをすっかり忘れていました。
慌ててお風呂から出て、挨拶に行きました。
あら、もう居なくなっちゃったぁ、、と思って
「どこ〜〜〜?」と心の中で呼ぶと、何処からともなく1羽がやってきました。
「えっと〜〜、、あなた去年来た方?」と電線に止まった誰かさんを見つめていたら、蛙さんの頭のすぐ近くをクルッっと一周回って、そして、何処かへ消えていきました。
どうも、去年こられた方のようです。
蛙さんは嬉しくて、飛跳ねました。
嬉しい楽しい4月のはじまりでした。