幻のロシア絵本 1920−30年代展

下関市立美術館でロシアの絵本展があるのを知ったのは数日前。そして会期はなんと25日まで。行こうかどうしようか迷ったけれど、絵本の原画とならば、行かねばならぬ。ロシアの絵本なんて見たことないし、幻というならばやはり行かねば、という訳で、珍しくハイウェイを使って下関まで行ってきた。

驚いた。行って大正解。心がこもった日常が描かれていた。共感や愛情に満ちていた。粗末な紙に刷られ、ホッチキスで止めただけの薄い小冊子であっても、かえってその紙質は温かみを感じさせた。アメリカと敵対する国、凍て付く大地、ロシアという国のイメージは決して豊かなものではなかった。だから余計に驚いた。とてもモダンで洒落ていて、カラフルで、キレイ。これがロシア絵本!このロシアの絵本は「国内のみならず、遠くパリやロンドンでも注目の的となり、20世紀の絵本の行方を決定づけることになった」らしい。

後半は段々と政治的な宣伝が入ってきていて、日常の中に戦争が肯定されて刷り込まれていた。政治色の入った絵本というのも、はじめて見た。真っ白な子供の頭に、戦争に向かわせる意識を刷り込むことは不要。(大人にも不要だけど)

幻のロシア絵本」最後は急ぎ足で見ることになってしまったけれど、それでも充分味わうことができた。家庭的なことも戦争のことも遠く離れて忘れている。絵本のモダンさ素晴しさに加えて、それらのことも心に呼び戻し同時にまた十分味わいなおしたいと思う。