一番のボスは“風”

行ってみたいねぇと言っていたカナダのイエローナイフ。偶々つけていたTVでカナダ、イエローナイフの映像が流れるようだったので、ごそごそしていた手元を止めてTVの前に座った。2年位前?だったか、イエローナイフへの旅の企画のチラシを手にしたけれど、結局行けずじまいに終わった。

映像の中にイエローナイフ大自然が映る。鉱物資源が豊富な所らしい。地元にいてティピは何度か見たことがあるけれど、私にはそれをいいとは思えなかったし、何かに繋いでくれることもなかったし、何の感慨もひっぱってはこなかった。でもイエローナイフに立てられたティピを見ていると、大自然の中にちょっとお邪魔させてもらうねという感じに見えて、私の心を森へと連れて行ってくれるような気がした。

リスが沢山の木の実を集めて枝の上に載せている。それらの映像を見ていたら、心が『森に帰りたい…』って言い始めて、何故か解らないけれど泣いていた。

イエローナイフといえば、オーロラ。小さな小さなオーロラは、一度飛行機の中から見たことがある。初めてパリに行ったときの帰り、機内は消灯されてみんな寝静まっていたけれど、うまく眠れずに起きていたらスチュワーデス(CA)の方が、偶々窓際に座っていた私に「あそこオーロラが見えますよ」と小さい声で教えてくださった。とても小さくにしか見えなかったけれど、揺らめく緑色の光が眼下に見えた。

夜空に、まるで生き物のように揺らめく緑のオーロラ。オーロラを見ると人生観が変わるといわれているそう。圧倒的に美しいものを見ると、人間って変わってしまうのかもしれない。

映像の中で、ナビゲータ(佐藤藍子)がとても気に入った男の子(5才位?)がいて、まるでトムソーヤの冒険にでも出てきそうなその可愛い男の子が、この湖で一番のボスは“風”だと言っていた。本当にその男の子は、ボスが“風”であることを確かに知っているようだった。お祖父ちゃんが「風はどっちから吹いてる?」って訊くと、人さし指をなめて目線より少し上にピンと立て、指に風を感じていた。そしてちゃんと風の吹いてくる方向をお祖父ちゃんに伝えた。風を指で体で心で知っている男の子。

人間が一番偉いのではない(人間だけが偉いのではない)と誰もが知っている、そんな場所へ行きたいな。。。