「暮らしの中の陶芸」@防府市アスピラート 開催中

〜以下ご案内です〜

「陶芸の魅力展」
―暮らしの中の陶芸―防府現代陶芸の今

――陶芸の魅力を伝えたい。
防府市では、伝統的なものや工芸的なものとして、民芸として、産業として・・・多様な陶工が窯を構えています。
ご存知のとおり、萩焼の陶土となる「台道土」の産地は、ここ防府市でもあります。
このたびアスピラート[防府市地域交流センター]では初めて、ベテランといわれる作家から若手の作家まで、ジャンルや経歴にとらわれず、防府市在住の14名の多様な陶芸家を紹介します。
防府市で、多くの陶芸家が生まれるという土地柄や、暮らしの中で何気なく触れている「陶芸」をとおして、陶芸の魅力はもちろんのこと、防府市の魅力を再発見する機会になればと幸いです。

会 場  アスピラート[防府市地域交流センター] 2F 展示ホール

会 期  2012年11月16日(金)〜11月24日(土)
      10:00〜17:00(入場は16:30まで) ※11月20日(火)休館。

入場無料!くらしのうつわ販売コーナーも登場!

■出展作家(五十音順)
上田敦之  大井可笑  大井正則  大井美智子  田中孝志  永田美和子  鉾石由紀子  松下宏明  間鍋竹士  安沢秀浩  山本尚明  横山知仔  脇本順子  脇本定三

http://www.c-able.ne.jp/~aspi-111/




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先月末の日曜日に「山口アーツ&クラフツ展」@山口中央公園へ行った。色んな作家さんの作品を一度に見ることができるのでいつもワクワクする。
とりあえず、全部見ようと思って時計回りに回っていた途中、お店の間をシュルシュルっと抜けて行った所にあった焼物のブース。とても薄く作られた烏口の急須がいくつか並んでいた。蓋をあけて中まで覗き込むと、茶こしの部分もしっかりと作られていて、とても端正な作り。何気にそこにおられた作家さんらしき人と少し話を交わした。今時こんな薄口の茶碗を作られるのは珍しいですねと言うと、最近は薄口の作品を作られる若者は多いとのこと。

15年位前だったと思うけれど、萩焼き祭りに行った折、少し年月を経た薄づくりの美しい茶器に出会った。いいなぁと思って見惚れていたらお店の人が「薄い茶碗は土を寝かせないと作ることができない」と言われた。鶏の脳しかもたない忘れっぽい私が憶えているということは、土を寝かせるというその言葉に私の頭が妙にヒットしたということ。昔の職人さん(作家さん)は20年、30年、と土を寝かせて使っていたと聴いて、土を寝かせるというそのプロセスに一寸感動した。ゆっくり見えない所で、見えないけれど確実に何かが変わっていく。解らない人には解らないけれど解る人には解る(というか知っている)世界。そんな世界を知っている仕事師。

以前聴いたそんな話を想い出しながら「薄物は土を寝かせないと作れないと以前聴いた事があるんですけど・・・土は何処で?(入手されているのですか?)」と聴いてみた。すると、なんと、その作家さん、土を自分で採取しに行って、自分で焼物用の土を作っておられるらしかった。(え゛〜、アンビリーバブル!@@)

作品は全部山口県内産の土を使って作っておられるらしい。そして側におられた綺麗な御夫人(たぶん作家さんのお母さん)が仰るには、家には県内で採取してきた土が沢山寝かせてあるとのこと。今時、若い人で、土を寝かせて使うような人があろうとは思いもしなかった。自分で土を採取して土づくりをし、釉薬も勿論自作されているよし。

あまり口数の多くないその作家さんと話していると、その人には、独自のとてもゆっくりとした時間が流れているように思われた。とても穏やかで、ゆっくりと精確に刻む時を体内に持っている人のような気がした。幽玄な時の無い様な世界に行っているような人には出逢ったことはあるけれど、こんな穏やかな大地の時間を刻み続けているような人に過去に逢ったことがあったかどうか?

「よく土のことまでご存じですね」と、声をかけて下さったその作家さんのお母さん(たぶん)が、「(息子は)無農薬で田んぼも作っているんですよ」と話して下さった。お母さんが、「雨が降るから、もう草取りはやめて家に入りなさい」と言うと、「雨が背中に当たるのが気持ちいいから、」と息子さんは作業を続けられたりするそう。

『雨が背中にあたるのが気持ちいいから・・・』

この人の物の感じ方。普通じゃない。

以前習っていた日本画の教室で、地元で採れる白土を採取してきて(採取してこられたのは先生だけど)それを水干にして下地の絵具として使えるような絵具を作った事がある話をすると、少しワクワクするような顔をして「採りに行ってみたいなぁ〜」と言っておられた。やっぱり、変わっている。

多く語ること無く、淡々と、ゆっくりと、共生しながらマイペースといった風のその作家さんのお名前は、間鍋竹士さんといわれるようだった。私のように強請しながらマイペース?とはわけが違います?

お話しながら、じんわり感動したので、帰りにコーヒーカップを1つ買って帰った。

家に帰って出展一覧の冊子から名前を探してプロフィールを見ると、青年海外協力隊エチオピアで過ごされた経験もおありの方だった。そういえば、そのコーヒーカップの色は、どこかエチオピアの大地を思わせる。(エチオピアなんて行ったことないし、エチオピアの大地なんて知らないし、コーヒー豆ぐらいでしかエチオピアのことなんて知らないけれど。)コーヒーカップなのに、遠くから眺めると、独特の佇まいがあって、知らずのうちに見入ってしまうくらいだった。

コーヒーカップは色々買ってみて、なかなか気に入ったものがなかったけれど、愛用の一品になりそうで嬉しい。(つづく)・・・後日またこのコーヒーカップに少し驚かされることになったのでした。