有福にて

山陰の温泉を今年も色々巡り、昨日一昨日は島根県有福温泉に行ってきた。旅館は老舗ぬしやに宿泊。それなりの値段のお宿で料理もサービスも良かったけれど、帰り道では明日からの活力が湧くというよりもなんだか少し虚しさを感じた。ここ1週間以上ずっと胃の痛みを感じていて(胃腸が悪くなると生命力が落ちて気分も落ち込みがちになる)それは温泉に浸かったお蔭で何となくよくなった気もするけれど、何故か何処か、虚しいような気分が心に流れているのを感じた旅となった。

虚しさの要因は複合的なものがあると思う。この頃の北朝鮮の核開発問題やそれに対する米国トランプ氏の発言。また自民党が勝ってしまうだろう週末の選挙の事。私の胃腸をはじめとする体調不良。色々と考えるほど気持ちは沈んでいくことばかり。

旅先で有福温泉から近い美又温泉に行った時に耳に入ってきたオジサン達の話も私を沈ませた。ロビーで相方さんを待っていたら70歳位の人&80歳半ば位の方が話しこまれていて、若い方のオジサンが「自分が生まれ育った集落がもう消滅しそうなんじゃ・・・」と切実な声が私の耳にも届いてきた。私の通勤途中に見る風景にもここ数年でまた空き家が増えてしまっているけれど、ここ島根の奥地でも過疎化は知らぬ間に恐ろしく進んでいる。自分が生まれ育った集落が消滅してしまう。綿々と繋いできた生活の場が無くなってしまう。全くその場所とは関係のない私も寂しくなった。

宿泊先の老舗旅館"ぬしや"は、道路の拡張工事で立ち退きになった際、酒蔵や醤油屋などの古民家を移築して建物を作られたそうで、柱の梁や調度品には何故だかちょっと鳥肌が立った。でも長い時間の更に長い時間を考えると、あっちの未来も、こっちの未来も、あまり良くなっていくようには思えず。

今回は旅先ではあちこちとは巡っておらず、小さな美術館に二つ行った程度だけれど、その二つの内の一つ「世界こども美術館」は、その落ち込む私を少しだけ元気にしてくれた。新聞紙で作った作品の展示。新聞紙という素材の面白さは間違いなくイイネと思っていたので、あまり気の進まない相方さんを無理やり連れて行ったけれど、やはり面白かった。新聞は、色々読める。色もついている。意外と強度を持たせることはできる。自由自在に形を作れる。廃棄も楽でとってもエコ。新聞紙でつくったキノコの形をした椅子があったが、あれは私も作ってみたい。動物も作ってみたい。


これからの人生を色々考えると、秋という季節もそうさせるのかもしれないけれど、周りをみまわしても、なかなか元気も出てきづらいこの頃。気持ちはしょっちゅう投げやりになってしまうけれど(余り表には出さないようにはしているけれど?出てるかな^^;)それでもクリエイティブになるしか生きる道はなし。

素敵な宿に泊まれて、お湯はイマイチだったけど、のどぐろも松茸のお吸い物も美味しかったし、これからも傍から見たらしょーもな〜いと思える楽しみをそこそこに沢山織り交ぜながら?近くの人にも遠くの人にも感謝して、よっこらどっこいしょで生きてまいりましょう。なんだか変な旅日記、となりました、とさ。