平尾台と門司港レトロ

連休中、どこか連れて行ってと友達に言われ、九州国立博物館へ行こうかとも思ったけれど、遠くまで運転するのも面倒で、近場でどっかないかなぁと地図をぼんやり眺めていたら、平尾台が目にとまったので、平尾台に行ってみた。
平尾台って行ったことないし、って思っていたら、行ったことがある場所。

平尾台につく少し前に、手打ちうどんのお店に入った。自家製粉をしているらしく、麺が少し透き通っていて、とても美味しかった。そしてなにより、出されたお水がとても美味しかった。水の美味しいところはいい。

平尾台のあたりの山は、グレーと白の岩肌がむき出しになっている所がある。石灰岩採石場があった。石灰質って、サンゴなどの化石が海の底に堆積してそれが地殻変動で高温の熱と共に隆起したもの?だっけ?
生きた生物の証がそこにある。そう思うと、何となく幸せな気分になる。

平尾台と書いてある看板を見過ごしてしまい、少し迷って平尾台へ到着した。大変な思い出もある場所なのだけれど、それでもやっぱり平尾台は好きな場所である。
千仏鍾乳洞の入口の近くまで歩いて降りてみた。ここの鍾乳洞は下に水が流れている場所があって、そこを歩いて通れるようになっているみたい。今回は入らなかったけれど、次回は鍾乳洞にも行ってみたい。

帰りに門司に寄ってみる。いつものように、蜂蜜の種類が沢山あるお店で色々試食してみたり、ガラス細工のお店や輸入雑貨のお店をのぞいてみたり。私はアカシアの蜂蜜が好きなのだけれど、友はクローバー(クローバーの花粉の味がした)の蜂蜜が良かったみたい。私はクローバーの蜂蜜は苦手で、森にいる黒い熊みたいな味(って熊なんぞ食べたことありませんが)だなぁって思ったけれど、友は熊が好きなので、クローバーの蜂蜜の味が好きなのを勝手に納得した。

ガラス細工のお店に、アメリカ、イタリア、フランス、ドイツ、ベルギー(だったと思ふ)の小さくて安価なグラスがあった。安価だったから、各国で結構流通している日常使いの継承されている形のグラスだと思うけれど、国民性が現われているようで、面白かった。

アメリカのグラスは名前がサイドカー(大きいグラス、ジョッキ?にひっかけるんだそう)、イタリアのショットグラスは持ち手がすごく下についているのだけれど、これが持ってみると、キュッと飲むにはこの形はとてもよくて、ある種の気分を勝手に起こさせた。他のものも、お国柄をあらわしているようで、面白かった。

外では、大道芸人(それだけで生計を立てているって言ってた)がヨーヨーで芸を繰り広げていた。毎週末しているらしい。アイスクリームも買えない金額だけれど、帽子にコインを投げ入れてみる。

前に来た時には見なかったけれど、コスプレの人達を沢山みた。大正ロマン風のドレスを着た人や、メイド風の人。クルクルの金髪でベルサイユの薔薇か?っていう人や黒のタキシードを華やかに着た一群。友達に「私たちもやってみたいねぇ」と言ったら、意外にも「うん、私あーゆーの好きだし、やってみたい。」と返事が返ってきた。世の中なんでもありと思う私は、マジにやってみたいかも?皆でやれば、怖くない?

門司港レトロをプラプラあるいていると、赤煉瓦の建物で棟方志功の版画を見ることができるようなので寄ってみた。常設ではなく画商が展示会をしているようだった。値段を訊いてみたら、小さい作品でも270万円。やや大きめ(10号ぐらい?の彩色してあるもの)で430万円。びっくらこいた。買う人は買うんだろうが、たっけーよっ!

志功ちゃんこんなのもやってたんだぁ、と思わせる作品もあった。多分初期のころの作品だったと思う。志功ちゃんと言えば、私にはあの生命力あふれる女神たちや十大弟子なんかのイメージが大きいのだけれど、荒くて寒々しいような削り方の版画(説明が難しい)もあった。

因みに志功ちゃんは、一度に大量に刷るのではなく、注文を受けてから一枚一枚刷っていたらしい。だから、同じ版画でも枚数が沢山あるものもあれば、あまり刷られていなくて世に出回っている点数の少ないものもあるらしい。何となく、受注製作っていいなって思った。

志功ちゃん以外の現代作家の作品もあったけれど、個人的にはまるで興味もてず。1人だけ、この人の作品好きだなという人があった。名前は忘れてしまったけれど、102歳まで生きた人で、小さめ画面に、裸婦が刷ってあった。下手なイヤラシさがなくて、時代も感じるようで、商売臭さ(商業意識)を感じない作品だったし、とてもよかった。102歳まで好きなことをしながら生きることができたら、幸せだろうな。好きなことをし続けたから長生きもできたんだろうな。

体調すぐれず、家を出る時は、運転さえも面倒だったけれど、やっぱり出かけるとリフレッシュする。旅はいい。小さな日帰りの旅であっても。

プチ鬱の彼女と、やや鬱の私は、外に出かけていって、美味しい空気を吸って、美味しいものを食べて、珍しいものや、変ったものや、美しいものをみるのが、よろしいね。