重陽

今日は菊の節句でMおじいちゃんの亡き奥様のお誕生日だったので、花かごを作って久しぶりにMおじいちゃんに会いに行った。
老人ホームに入られたのは聴いていたけれど、行く機会をずっと逸していて、やっと会いに行くことができた。

初めて行ったその老人ホームはとても見晴らしのよい場所に立っていた。おまけにMおじいちゃんのお部屋は角部屋で特に眺めがいい。眼下の田圃の向こうには海も見えるし、遠くに常盤公園の観覧車も見える。建物に入る前は、ちょっと寂しい気も拾ってしまったけれど、私にとっては入りやすい場所だった。

Mおじいちゃんに最後にあった時は、顔色も悪くて、とても痩せておられたけれど、食事がいいのか、環境が安定しているからか、ふっくらされていてお元気そうだった。お部屋に入る前に「もしかしたら、誰が来られたか解らないかもしれませんけど」と介護員さんから説明を受けたけれど、お会いしたら、話す言葉も以前のままだし、会話も普通にできて、以前のままのMさんだった。人には、思考回路が働いて行く相手と、思考回路がストップしてしまう相手がある。お互い痴呆の程度の差はあれ、それはMおじいちゃんにもあるし、私にもある。生物だもの。人間だもの。

夕食の始まる前までの30分間、かつて話してきたように、今回も普通にお話をした。会う場所は変わったけれど、お互い以前と変わらずにお話ができたのはよかったなと思う。「あなたに会いたいと思っていましたよ」なんて率直に言われるMおじいちゃん。ちょっと参る(笑)。

6時になり、玄関までお見送りをして下さった。Mさんの側には、日頃よほど来客がないのか、3、4人の介護員さんまでが出てきてお見送りをして下さった。水兵さんのような敬礼をして、またきますと言って、最後に手を振って帰った。

家から然程遠くないので、いつか、私のギター演奏(全1曲・笑)の初披露にまいれたらいいけれど、実現なるか?!Mおじいちゃんだって恥ずかしげもなく言われるのだから、私も恥ずかしげもなく弾いちゃうか??