花屋に勤めて丸3年

1月22日で花屋に勤め始めて丸3年になる。花屋さんになりたかった訳でも何でもなくて、前に勤めていた会社が経営困難で仕事を辞めないといけなくなり、その後プラプラしていた私に相方さんがみつけてきた仕事が花屋さん。実家からもそんなに遠くないし、のこちゃんはこーゆーのすきじゃろうと思って…とその花屋の電話番号のメモを私に渡してくれました。

花屋の初日は教え方が酷くてメゲタけど、帰る時に東の空に虹がかかっていて、こりゃ頑張る方がいいだろうなと思って何となく続けることにしました。面白い事に1年後の1月22日、また出社時に虹がかかっていて、やっぱりエールを送られているような気がして何となく続けることができました。3年目になる去年は面白い人が研修に来られて(結局辞められたけど…)それでまたなんとなく続けることが出来ました。

時々顔をのぞかせる本社のチャラ男さん(同僚がそう言っておられました・笑)は一方的ですごい上から目線。出社拒否になりそうなほど嫌だったけど、上から目線はこの会社の体質の様子。前任の人が「口はきかない方がいいよ」と言われていたのがよく解る。

マックスマーラーなどを置いている高級ブティック1日(オシャレなさえちゃん小学4年生に呆れられちゃった・笑)、介護4ヵ月(お年寄りは大好きだし興味深い色んな話を聴かせて貰えてその辺りは面白かったけど、心身ともに、特に精神的に、きつ過ぎた…)を除くと他は全部事務仕事ばかり。人生の9割がた?を事務仕事だから肉体労働大丈夫かしら?とも思ったけれど、数か月もすれば慣れるもので、ずっとパソコンの仕事ばかりよりは遥かに体には良かったように思う。身体を動かすことで身体能力は(身体機能は大分落ちた所もあるけれど)ある種向上したのではないかと思う。

ピアノの練習も事務仕事ばかりしていた頃は仮に時間ができても出来なかったのではないかと思う。PCの操作がいくら早くなって、仕事が早くこなせるようになったとしても多分意外と脳的には一部しか使っておらず、心身の機能の使い方としては全く大したことなかったのだろうと思う。

花屋の仕事は綺麗な華やかな仕事ではなく、水、バケツ、世話、肉体労働。でもこの肉体労働がきっといい。ガテン系お兄ちゃんに通じるものがある?
人と会う事、人と対応すること、多分とても大切なこと。

花屋で仕事をするようになって良かったなと思うのは、色んな花や植物に出逢えること。花が包まれてくる各社の新聞の拾い読みができること(紙媒体は目に優しいし自分の好みばかりに寄らないのがいい)。色んな植物をネットで検索して仕事をしているふりをして自分の植物知識への欲求を満たすこともできる。(仕事をしているのやらサボっているのやら。まぁ、かなり忙しい仕事なのでサボっている暇はほぼないけれど)。そして一番良かったのは、色んな人とお話ができること。老若男女色んな人が来られるのがいい。常連さんは小学4年生から70〜80歳代の高齢の方まで色々。ブランド尽くしの飲み屋?の女性も来れば作業服のおじさんもお百姓のおばあちゃんもくる。色んな立場の色んな人と他愛もない話ができるのはいい。他には、勤務している花屋はスーパーの一角にあるのでバックヤードに行った時、時たま試食のおこぼれにあずかれる事(これ、美味しいよ、あ〜ん、ぱくっ・笑)。そういえば去年の初夏はスーパーの入口に並んでいた桃をランチタイムに頻繁に買っては食べていたな(笑。

昨日来店されたお客様が、私が色とりどりの花で作った大きな花束(埋葬用)を見ながら言われた。「お花屋さんって人生の縮図ね。」そう、お花は、出産祝、お誕生日、発表会、卒業式、退職祝、プロポーズ、結婚祝、金婚銀婚、喜寿米寿etc.お祝いに添えられるけれど、お見舞いにも持っていかれるし、ペットの死、肉親や近親者、友人等の死、お悔みにも添えられる。奥さんの50回目の誕生日用とのことで薔薇ばかりの花束を作った事もあれば、常連さんの息子さんが亡くなられ(なんと自殺)お悔みのお花を束ねた事もある。クリスマスに入院中の小学生の息子宛てにとお花を買っていかれたお父さん、老人ホームに毎月のように花を買って通っておられる入所者さんのご近所さん、毎年買っていると若い男性客が買っていかれたミニアレンジは幼くして亡くされた娘さん宛てのものだった。

花にまつわる思い出もある。ガーベラ、そして、アジサイ。どちらも悲しい物語つき。姪っ子さん用にとお花を買っていかれたお客様。二度目の注文の際、姪っ子さんは20歳代なのに末期の癌でもう食べる事ができないからお花を持って行くのだと聞いた。姪っ子さんは看護師をしておられたから癌の進行の事など自分の命がどうなるかは人並み以上にわかっておられたそう。ガーベラをメインに作って渡した。その後暫くしてガーベラをメインにミニアレンジを作って欲しいと依頼があった。亡くなる前に「わたしガーベラが好きよ」と言われていたらしい。会った事もない人。でもガーベラを見るとその言葉を想い出し、そして元気を貰っている。ガーベラの花言葉は…『希望』。

アジサイにも特別な思い出ができた。天国に通じるアジサイのお話。これは少し長くなるお話。またいつか書くことがあるかな。

いつまで続くやらと思いつつ4年目に突入。私にしてはよく頑張っています。先月もお昼ご飯を食べる暇もなく10時間ほぼ立ちっ放し×2日間連続ってなこともありました。ホントよーがんばっちょります。多分、お花が好きというより、人から色んなお話しが聴けるから、色んな人々の色んな日々の生活を素敵だなと思えるから続いているんじゃないかと思います。いつもは折角育てられた花や鉢だからロスが出ないように、なるべく捨てることなく皆の元に届くようにとそんなことばかり考えて仕事しているけれど、今年はもう少し勉強して、もう少し数学的に考えて、多様な図形もイメージして、もう少し精度もあげて、技術レベルを上げていけたらいいな。