小松亮太withラスト・タンゴ・センセーションズ@萩市民館

§プログラム§

・目覚め(八木正生熊田洋編曲)
・首の差で(C.ガルデル)
・小さな喫茶店(レイモンド)
・風の歌 〜THE世界遺産〜(小松亮太
リベルタンゴピアソラ
・アディオス・ノニーノ(ピアソラ
・ジェラシー(ガーデ)
・淡き光(ドナート)
コントラバヘアンド(ピアソラ/トロイロ)
・エル・アランケ(フリオ・デカロ)

    〜休 憩〜

・カミニート(フィリベルト)
・我が街のノクターン(トロイロ)
・92丁目通り(ピアソラ
・五重奏のための協奏曲(ピアソラ
・コラール(ピアソラ
・鮫(ピアソラ
・革命家(ピアソラ


去年初めて聴いた小松亮太氏のバンドネオンの演奏は、自分の中の悪魔でさえ愛せるような気分にさせた。そして今年は、どこかに光が灯るような気分になった。音の力、演奏の力ってスゴイね。

バンドネオンの音色(主にはピアソラの曲)は哀しみや辛さと同時に希望を持っているからいい。だから好き。人の情と、それを超えるもの。如何にかできることと、如何しようもないこと。天使と悪魔。日々の生活と周辺のこと。いろんな別物が同居している、そんな音色を持つ楽器。バンドネオン・・・好いよね。

小松亮太氏は、天使からも悪魔からも愛されるような人という感じ。因みに奥さんの近藤さんは「このヴァイオリン誰?」と、去年CDジャケットに名前を探して知ったヴァイオリニスト。時折みえてくる母な感じがまたよい。ギターの天野さんもそのスジでは有名な人らしいけれど、隣席の人が巧いねーとかなり褒めていた。確かに名前を覚えておきたいと思わせるギタリストさん。

演奏の方は、あまり有名でないタンゴの曲というのも二部では演奏されたけれど、気合い入っていて、最後まで退屈になる時間など微塵もなくて、知らない曲なのに心に届く素晴らしい演奏だった。まったくもって手抜きしませんねーー。さすが小松亮太!!

余り知られない曲や変わった曲(コントラバスが旋律を弾く曲なんて、そんなの初めて聴きましたわ。)を見つけて“こうだろっ!!”とか“これいいだろ!!”って、その曲達を表現/再現する小松亮太氏はホントに素適で、その優れ者具合に心からまいってしまいます。

リベルタンゴなどは、ホホォー、へぇー(なるほどぉー)と思わず唸ってしまいました。隅々にまで「俺はこうなんだ!」「この曲に関して、俺はこういう風に味わうし、こう演奏をするんだー!!」というのが明確に現れていて、まさに「俺のピアソラ」と言う感じ。実に妙味。まいった。いやホントに、巧い!!!

「五重奏のための協奏曲」の全員が前面にでるようであっても競い合ったりするのではなくて、その響き全てが厚みとなって重厚に響いていく感じであるとか、「コーラル」の近藤さんのバイオリンの筒のように響く美しい音色であるとか、何度唸ったり鳥肌が立ったり神妙になったりした事か。

本人いわく「今日の出来は敢闘賞をあげてもいいんじゃないでしょうか」とのこと。確かに、座って演奏された曲もあるけれど、一部の全曲および二部の後半は片足を踏み台の上にのせてずっと立ったまま演奏されていたし、その体力とバランス感覚と気力には脱帽するし、名演奏だったと思し、敢闘賞以上だけれど、あえて名付けられたその敢闘賞に心からの拍手を送らせて下さい。

並ぶのが面倒で(というか連れがいたので並ばせるのが嫌で)帰ってしまったけど『俺のピアソラ』買ってサイン貰えば良かった、残念。このCDは多分かなりおススメです!!!(ってまだ聴いてないけど・笑)

翌日は奥さんの近藤久美子さん(因みに奥さんのお父さんは萩出身の方だそう)と萩博物館等を回ると言われていた。山口萩でのデート、いかがだったかなぁ〜。

一期一会の演奏ではあるけれど、去年クリスマスに演奏を聴けて、今年も思いがけずまた小松亮太氏の演奏を聴けてラッキーだった。また今後も何処かで聴けるといいな。そしてボケボケの私がインスパイアされて何度でも目覚めていけたらいいな。音色と共に、今を見て肯定して感じ続けていける自分でありますように。
演奏を聴いていて、演奏(音楽)とはまるで違うことがふと心に湧いてきた。それは「○を○○○○○○」ということ。私と私以外の人のためにも、そうしよう。そうしていこう。

バンドネオンを知らない人へ。TBS系列 日曜午後6時〜6時30分の「THE世界遺産」で流れているテーマ曲が小松氏による曲および演奏です。

去年のヘンテコな感想は→http://d.hatena.ne.jp/nocochan/20101226