はじめての栗拾い

昨日はお声掛けを頂いて、人生初の栗拾いに出かけた。そこのお宅に呼ばれていくのは2度目だったけれど、家のすぐ上と言って良いくらいの近さに山があり、段々畑があって、眼下に集落が見下ろせるというとても気持ちの良い場所。美しい里山の風景だけれど、町(山口市中心部)へも然程遠くなく立地もいい。因みにお招きして下さった方は旦那さんの中学のクラスメートで、先日も偶々防府市民コンサートで出くわした。

栗拾いの場所まで段々畑を歩く。畑は貸しておられるそうで、大豆が植えられていた。お味噌り作り用のものであるとか。畑と畑の境には花シバ(樒)も植えられていて、お墓参りの時は採って行ってもOKよとのこと。畑の一角にイノシシ捕獲用の鉄格子の罠が置いてあり、その仕掛けの大きさを見るにつけどれだけ大きなイノシシが出てくるのかと思う。

あぜ道を通って山に入っていくと、直径20cmはありそうな栗の木が脇でお出迎え。夜落ちている分は猪が食べてしまうので、日中拾う分が人の口に入る分だとか。それでも、大きな栗の木なので、シーズンになると毎日それなりの数が採れるそう。私達が伺った日も前日に収穫されていたらしいけれど、2本の栗の木から2kg以上の栗を拾わせて貰った。恵みに感謝。

新婚の娘さん夫婦が来られていてブルーベリーの育て方を旦那さんが教えてあげていた。ゆくゆく、畑にブルーベリーを植えたり、コーヒーが飲める場所を作りたい様子。楽しみですね。

二人のお嬢さんのうち妹さんの方は、3年前から草刈り機を使って草刈りをしておられるそうで、夏場は毎週のように草を刈っていると言われていた。まだ三十代前半の美人のお姉さん。普通の感覚で草刈りされている感じが何気にカッコイイ。

栗を拾わせて貰った雑木林は、絵本にでも出てきそうなステキな雰囲気を持っていていた。美しくとても心地よかったので、栗拾いの手は動かなくなって、暫くぼーっと木漏れ日を見ていた私。愛すべき場所は、愛された場所。手をかけ、長い間見守られ、手を掛けられてきた場所。

美しい場所にいる時、そこに払われた労力のことなど想いもしないけれど、そこはずっと人が関わって、その場所を守り、その場所から守られ、恵みや感謝と共に時間を経てきた場所なのだと、今は解る。

地元の鮎とささげ豆(ささぎ豆)の入ったおむすびとシソジュースを土間に置かれた椅子に座って皆で頂いた。シソジュースは青紫蘇で作られたものだそうで、メジャーな赤紫蘇ジュースよりさっぱりとしてとても美味しかった。鮎の美味しさは言うまでもなし。小ぶりだったので頭も骨も丸かじり。ささぎ豆と言われていた赤いお豆の入ったおむすびは、私が小さい頃、地域の”お接待”で提供されていた”ささげ豆”と一緒のようで懐かしい味がした。

サツマイモ(べにはるか)も帰り際に頂いて、嗚呼、これぞ、豊かな田舎!気の利くお嬢さん方に接するにつけ、廃れる中にも残っていく佳きものがあることを知り、なんだかとても有難い気分。

さてさて栗で何を作ろうか、悩む。マロングラッセは面倒なのでパスするとして、渋皮煮もそこそこ手間がかかるのでどうしようかと思うけれど、粒の大きい栗なのでやっぱり渋皮煮かしらね。